寄居町 K保育園様 サクラ樹勢回復措置・枯損枝剪定作業
ご依頼の内容は、運動場に開園当時に植栽された樹齢約50年のサクラが昨年夏、急に葉を落としてしまい樹勢が弱っているようだったため、弱った原因を調査し、樹勢を回復させてほしいとの依頼がありました。
外観診断、簡易土壌調査を行った結果、かなり腐朽が進行している個体があり、土壌も踏圧により固結し根の生育が阻害されていると診断しました。
施主様と相談し、今回は枯損枝の剪定と、樹勢を回復させるための土壌改良を行うこととなりました。
お客様情報
エリア | 埼玉県寄居町 |
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お客様名 | K保育園様 |
受けたサービス (2021年2月) |
樹勢回復措置 ・ヤエザクラ 2本 ・ソメイヨシノ 3本 |
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作業人数 | 4人 |
作業時間 | 1日 |
受けたサービス (2020年11月) |
枯損枝剪定 ・ヤエザクラ 2本 ・ソメイヨシノ 3本 |
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作業人数 | 3人 |
作業時間 | 0.5日 |
サクラ樹勢回復措置
作業ビフォー
作業アフター
作業工程
今回の樹勢回復措置はエアーコンプレッサーとエアースコップを使用し、サクラの根周りの半分、運動場側の根域を対象とし行いました。エアースコップを使用することの利点は、根を傷めたり、切断するリスクを最小限に抑えながら土壌改良が行えるということです。
根を傷めるリスクが少ないとはいえ、作業は根を傷めないよう慎重に行います。
掘削作業後。土を飛ばしながら深さ20~30㎝、1本あたり5箇所、ボックス型に掘削しました。
エアースコップだけでは、綺麗に根を露出できないため、ドライバーを使用し、綺麗に根系処理を行います。この時、傷んでいる根や腐っている根は切り戻し、殺菌剤を塗布します。
そして、割竹を挿入します。これは養水分を吸収する根が多く生育している層に空気と水を通すために行います。
サクラの根は一般的に浅根性で、養水分を吸収する根はだいたい表層から20~30㎝にあります。踏圧によって固結した土壌を崩し、そこにある根の量を増やすことでサクラの樹勢回復が図れると考えます。
運動場の土は砂質でした。砂質土壌は物理的には土壌の粒子が大きく、有機質に乏しく、保肥力や保水力が小さいという特徴があります。また、化学的にはカルシウム含有量が高く、マグネシウムやカリが少ないために塩基のバランスが悪く、アルカリの傾向にあります。
今回は、排水性と保肥力の改善を図り、養分のバランスを考慮した改良資材を配合し、掘削した穴に投入しました。
保育園の子供達には申し訳ないですが、人止め柵を設置し、根の周囲を保護することで今後の踏圧を防止します。
担当者のまとめ
ご依頼を頂いた昨年の9月頃は、サクラの葉がかなり落葉していました。それは、こちらの保育園に限らず、多くの場所で観察された現象でした。
原因としては、おそらく長雨からの急な暑さにより、根が弱ってしまい、水分を上手に吸収できなかったことが考えられます。
K保育園のサクラは、踏圧による土壌の固結により水分が吸収できなかったこと、砂質土壌のため、保肥力や保水性が乏しかったこと、そもそもの根の量が少なかったことが原因で葉が落葉し、樹勢も弱っていたのだと改めて分かりました。
今後は、開花の様子や夏場の水管理などを十分に行い、経過観察を行っていきたいと思います。
ご依頼頂いたK保育園様、ありがとうございました。