
埼玉県様より125号バイパス街路樹のケヤキ高木剪定作業

ご依頼の内容は、埼玉県様よりバイパス沿いにある街路樹のケヤキ83本を強剪定やぶつ切り剪定を避けて剪定を行って欲しいとの依頼がありました。
お客様情報
エリア情報 | 125号バイパス |
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お客様名 | 埼玉県様 |
受けたサービス | 街路樹:ケヤキ 高木剪定 |
作業時間 | 8日 |
作業ビフォーアフター
本来ケヤキは無管理でも樹形が乱れすぎず、綺麗な樹形を作ります。枝を大きく広げるので緑陰も広く、秋の紅葉は見事です。しかし、大量に発生する落ち葉に対する苦情の多い木でもあります。落葉後の冬の姿の美しさは世界一とも言われるのに、落葉前に強剪定されたり、幹の途中で切られてしまうケースも見られます。


ぶつ切りを避けると樹はバランスよく生長します。剪定で枝が減り、それらに付いていた芽が減ると、貯蔵されている生産物は残った枝や芽に集中し、生長が偏ります。そして、新たな不定芽が生じやすくなります。逆に、既存の枝や定芽をなるべく残せば、芽の数が保たれて、それぞれの枝の伸長量も抑えられることになります。
- 定芽:枝の先端、葉の付け根など決まった位置に生ずる芽
- 不定芽:普通は芽が出ないところから生ずる芽。生産物が不足するなど、生活に危機を感じると枝を出して葉をつける。「胴吹き」も不定芽。
枝をぶつ切りにするような「強剪定」は偏った生長の原因となります。一方、ぶつ切りや過度な刈込みを避けた「柔らかい剪定」を施すとバランスの良い樹形となります。








小枝を取りすぎると、葉を付けられる枝が減り、葉の生産物が減りますから、樹木は慌てて既存の枝を徒長させ、新たな葉を付けようとします。
その結果、樹木は疲れ樹形のバランスも崩れます。樹木に限定空間で生きてもらうには、その空間に樹木を収めながら小枝を残し、葉を十分に展開させる必要があります。
小枝の残し方と樹木の生長関係
小枝を多く残すと葉量も維持される
葉の生産物が維持され、その分配先も多い
樹木全体のバランスがよく、落ち着いた生長になる
小枝が減ると葉も減る
葉の生産物が減り、その配分先も偏る
新たな葉を付けようと強い枝、太い枝が徒長を起こす
以上のことから、街路樹の管理には枝をあまり「切らない剪定」も欠かせません。「切る剪定」の場合も葉を付ける小枝をなるべく残す必要があります。
庭師として培ってきた伝統的な剪定技術
三島造園では、庭師として培ってきた伝統的な剪定技術があります。




それは、「切詰剪定」「間引剪定」「切返剪定」の剪定手法を、組み合わせて剪定を行うということです。
- 切詰剪定:枝先を揃えるために長い小枝を外芽の位置で切ること
- 間引剪定:枝葉の密度調整
- 切返剪定:樹形の縮小
これらの手法を目的に合わせて行っていくと、柔らかく美しい自然樹形となります。
適切な位置で剪定することも大切です
【適切な剪定位置:例】


太い枝を切るときは、樹木にかかる損傷と、その結果発生する腐朽などの被害を最小限にとどめるため、樹木への負担が少ない理にかなった剪定位置があります。
適切な位置で剪定すると、カルス(癒合組織)の形成も早まり、腐朽を防御します。
施工担当者のまとめ
街路樹の剪定は、「生き物を相手にしている」ということ、また、緑が多く適切に管理されている地域ほど暮らしやすく、文化的な環境にあるということを我々造園業界は明確に認識し、日々の業務に取り組んでいかなければならないと考えています。
健全な樹木を育てるには剪定の他にも多くの課題があるかと思います。これからも適切で美しい街路樹に仕上げられるよう、プロとしてのプライドを持って業務を行っていきたいです。