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実績紹介

マツの樹木診断
樹木診断

行田市 Y様邸 葉の色が赤褐色に変色し枯れそうなマツの樹木診断業務

三島摩耶
三島摩耶
こんにちは。造園業を生業として創業より130年ほど続けさせて頂いております三島造園有限会社 樹木医 三島摩耶と申します。今回は、行田市Y様邸にあるマツが、枯れそうなので診てほしいとのご依頼を頂きました。

ご依頼の内容は、ご自宅にあるマツが9月上旬頃から急に葉の色が赤褐色に変色してしまい、枯れそうなので診てほしいとのご依頼を頂きました。

このマツは先代から大切にしてきたマツで、薬剤の散布や栄養剤の投入など色々と手を尽くしたそうですが、気が付いたらあっという間に全体に葉枯れ症状が広がってしまっていたとのことでした。

お客様情報

エリア 行田市
お客様名 Y様邸
受けたサービス マツの樹木診断業務
作業人数 1人
作業時間 1日

作業内容

行田市Y様邸 松診断診断前
行田市Y様邸 松診断後診断後(マツノザイセンチュウの検出)

診断したマツは、葉がアカマツに似ていますが、幹下部から上部にかけて黒っぽい亀甲状樹皮があり、クロマツっぽくもあるので、両者の交雑種アイグロマツではないかと推測しました。

赤褐色に変色したマツ
枯れそうな松

葉枯れ症状は上部の枝から始まっているのが分かります。マツの病気は様々ありますが、施主様からヒアリングした話と、時期と症状を診て、まず「マツ材線虫病」ではないかと疑いました。

マツ材線虫病は7~8月には外観的には異常が見られません。しかし、この時期に樹脂の流出がとまり、初期の病徴が現れてきます。

8月の半ばを過ぎると針葉はしおれ赤褐色に変わり、10月頃には木全体が枯れてしまいます。

樹脂の漏出はない
松の枝が枯れている

ポンチで樹皮に穴をあけてみましたが、樹脂の漏出はありません。また、上部の枝も完全に枯れていました。

線虫を検出するためにベールマン抽出用のマツの枝
完全に乾燥枯死している枝

線虫を検出するためにベールマン抽出用のマツの枝(完全に乾燥枯死している枝、枯れそうな枝)、幹から材を採取しました。そして、それらの外樹皮を流水で十分洗浄し、他種線虫を除去します。

ベールマン抽出
ベールマン抽出とは、このような簡単な機材を使い、マツ材線虫病で枯れたと思われマツの材を包んだティッシュペーパーなどをロートに張った水に浸し、線虫を漏斗の底に沈殿させる方法です。

すぐには抽出できないので、一昼夜放置します。それ以上放置しても大丈夫。マツノザイセンチュウはそう簡単には死滅しません。

放置後、下に溜まった水をシャーレなど観察しやすい器に入れます。目で見て分かる大きさではないのですが、マツノザイセンチュウの大きさはだいたい0.5~1mm満たない程度の大きさなので、大量にいる場合は動いているのが見えたりします。

行田市Y様邸 松診断後
マツノザイセンチュウ

マツノザイセンチュウか、他の線虫かは、もっと倍率の高い顕微鏡を用いてマツノザイセンチュウの特徴を詳細に調べる必要があります。

しかし、罹病したマツの時期、状況、マツノマダラカミキリの産卵痕などがあり、線虫が分離されるときは、そのほとんどがマツノザイセンチュウと考えてよいと思います。

今回のマツもベールマン抽出を行った結果、残念ながらマツノザイセンチュウが検出されたため、「マツ材線虫病」であると診断しました。

担当者のまとめ

施主様ご家族が先代から大事になさっていたマツだったということで、「マツ材線虫病」に罹病してしまっていたとお伝えすることは非常に心苦しいことでした。ご家族の方は、「枯れた原因が判明しただけでも良かった」と仰って下さいましたが、もしこの病気の存在を知っていたならば防除ができていたかもしれません。

敷地内には他にもクロマツが2本と五葉松が1本植栽されているので、いつもご協力頂いている(有)松活性研究所の方と相談し、それらのマツの防除法をご提案させて頂きました。

行田市には忍城址があり、その中には多くのマツが植栽されています。三島造園で請け負わせて頂いているお庭にもマツを大事にされて管理されているご自宅が多くあります。松くい虫被害からマツを守る、それは行田市の美しい街の景観を守る、日本の文化、マツの文化を次の時代へ引き継ぐことだと考えます。

ご依頼頂いたY様ご家族様、いつもご協力頂く(有)松活性研究所様、ありがとうございました。

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